冬目景『イエスタデイをうたって』

イエスタデイをうたって 1 (ヤングジャンプコミックス)

冬目景作品には他にも『羊のうた』や『黒鉄』などの人気作がありますが、個人的にはこの『イエスタデイをうたって』が一番好きです。
『イエスタデイをうたって』は大卒でそのまま何となくプーになってしまったお兄さんリクオとその同級生でしっかり教師として社会人してるしな子、バイト先に現れた謎の少女ハルの三人を中心としたお話です。このマンガは基本的に劇的に話が進展することはありません。皆が皆それぞれの思いを胸に、立ち位置を一歩また一歩とゆっくりゆっくり動かしていくのみ。新しい登場人物が現れてもそれは変わる事がありません。が、そんな風に同じ所をグルグル廻っているだけのように見せて、振り返ってみると随分と一人一人の心境は変化しています。そんなお話。恋愛だったり、社会に置ける自分の立ち位置だったり、小さくて大きな悩みをみんな抱えて生きてるんですよね。
上記のような独特のテンポが楽しめる人には激しくお勧めするのですが、いわゆる漫画的な劇的な展開がないとイヤって人には激しくお勧めできません。まったり進行が好きな人は是非読んでみて下さいまし。