BUMP OF CHICKEN 『ユグドラシル』

ユグドラシル

ユグドラシル

アルバムとしてどう聞けばよいのか、「非常にやっかいな一枚」だと評されそうな一枚です。迸るような勢いを持った『オンリー ロンリー グローリー』や『sailing day』そして新曲『fire sign』。その傍らに鏡のように寄り添う『乗車券』や『車輪の唄』、『太陽』などの別れや孤独、そして切り裂かれたような世界*1に微かな温もり。『天体観測』以降のバンプは自称音楽通な方々から批判されたり、メディアから異常な持ち上げ方をされたりと周りに振り回されることも多かったと思いますが、最終的には自分たちの歩むべき道を自分たちで選んで前進しているのだと思います。きっとこのアルバムも色々と物議を醸すだろうと思いますが、私は一つの足跡を残したと評価したいです。
ただ"昔バンプ"の再来を望んでいる人は覚悟して聴かないといけないですね。一方でバンプのポップな面を買っている人はことさら覚悟が必要かもしれません。ある種歌詞だけ見れば原点回帰の傾向。サウンド面はポップになっているというよりは、昔のように勢いで音を叩きつけるだけではなく、楽曲と向き合って音を選ぶようになったということなんじゃないかなぁと思います。「このアルバムの中であえて一曲を挙げるとしたら?」と聞かれて『太陽』と答える人は私と同類です。『ロストマン』は言わずもがなって感じで。

*1:ある種覚醒後のRadiohead的な。