アンパンマンにビートルズを思う

子どもがいる家庭のテレビからは、往々にしてアンパンマンの主題歌が流れているものである。かの有名な「愛と勇気だけがともだちさ」のアレだ。そこで、今日は皆様の素朴な疑問にお答えしてみようと思う。素朴な疑問とは、つまりコレである。

アンパンマンの友達は、本当に愛と勇気だけなのか?」

アンパンマンの話に入る前に、私の好きなThe Beatlesの『All You Need Is Love』についてふれてみよう。

邦題が「愛こそはすべて」であることから、時にこの歌詞は「愛のほかには何もいらない」などと訳されていたりするが、私はその解釈は好きではない。何故なら、ビートルズの歌う「LOVE」はそんなちっぽけな愛ではないからだ。ビートルズの歌う「LOVE」には、いつだって愛や勇気や希望、ありったけのポジティブが込められている。つまりビートルズは「LOVE」という短い言葉にすべてを詰めこんで、こう歌ったのだ。

「それさえあれば、何だってできる。」

話をアンパンマンに戻そう。
実は「愛と勇気だけがともだちさ」の歌詞が2番であることは案外知られていない。フルバージョンの『アンパンマンのマーチ』の歌詞はこうである。

もうおわかりであろう。アンパンマンのまわりには「みんな」がいて、アンパンマンはその「みんなの夢」を守るために、勇気を振り絞って日々戦っているのである。
そう、アンパンマンには愛と勇気だけしか友達がいないのではない。アンパンマンの仲間や友達、彼を取り巻くすべてが彼の「愛」であり「勇気」なのだ。そして彼はその愛や勇気を胸に、今日も皆のために戦うのだ。そこには「悲しみ」や「不安」などのネガティブは微塵も存在しない。
さすがやなせたかし、齢90を過ぎてもなお現役を張る日本の大巨匠である*1。ただ、歌詞が深すぎて子どもには伝わらないのではないだろうか。

*1:『手のひらを太陽に』もやなせたかし作詞。